1.誰にでもわかる色彩計画美しく風格のある国土の形成を目的として「景観法」が2005年に施行され、全国でまちなみに対する様々な取組みが行われてきました。 今まで多くの建築物や建造物の色彩について、景観に配慮したデザインが施されてきましたが、そのプロセスは概ね専門家に委ねられ、一般の人々がその決定プロセスに関わる機会はあまり多くなかったといえます。 本書では建築物を対象に、まちなみ形成に関わるカラープランニングのプロセスを“見える化”し、専門家のみならず一般の利用者や事業者・施工者など、プロジェクトに関わる全ての人々がその成立のプロセスや考え方を共有することにより、まちなみに対する理解をさらに深め、愛着をもってまちを守り育てていただくことを目的としています。2.地域の個性を見つける日本には地域固有の気候風土があり、伝統的なまちなみは、そこに暮らす人々が自然に寄り添いながら身近にある素材を使い、連綿と受け継がれてきた様々な工夫や知恵を注いで、その土地ならではの景観をつくってきました 現代のまちなみについても、山並みや川の流れ、植栽等の「自然環境」に由来するもの、電車やバスなど公共交通機関や、市街地の商店の外壁など、「社会環境」を反映する色。そして、地域の伝統的な行事や、暮らしの中で永く馴染んできた建物など、地域の「文化環境」を表す色。この3つの環境色を掘り起こすことにより、その地域の持つ魅力ある風土性を見つけ出します。3.言葉がつむぐ色彩の世界色彩に対するイメージは人によって様々といえます。まちなみ計画の現場において、コンセプトやイメージの共有は、カラープランニングの重要なプロセスとなります。 本書では、まちなみカラープランニングを進めるにあたり、その手法として株式会社日本カラーデザイン研究所(以下NCD)が公表している、色彩と言葉の相関関係を180のキーワードにまとめた「言語イメージスケール」の理論を引用しています。NCDのカラーシステムは、「色感」(色彩)と「語感」(言葉)を等価変換することにより、感性を情報化・共有化する画期的なロジックです。 対象地域の色彩を言葉に変換することにより、プロジェクトでの地域性をキーワードとして共通認識し、そこで抽出されたキーワードをふたたびカラープランニングに変換することにより、色の持つ意味やイメージを関係する人々が理解・共有することができます。 本書では、「色彩」と「言葉」の変換手法を用いて、論理的にカラープランニングを進める手順をまとめました。01はじめに『まちなみカラープランニング』について
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