調査結果の公表
- 令和2年度 第2回 『景況感指数からみた実績と見通し』
- 総計
- -実績-
令和2年度第1四半期の受注実績の景況感指数は、消費税率引上げにより大きく落込んだ昨年度第1四半期との比較となるためプラスに転じることが期待されたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う消費マインドの冷え込みや緊急事態宣言下での営業自粛等を背景に、
注戸数△75ポイント、受注金額△71ポイント という厳しい結果となった。過去においてはリーマンショック後や消費税率費8%への引上げ後においても厳しい落込みが見られたが、いずれも5期目にはマイナスからプラスに転じており、今回の5期連続マイナスというのは、これまでとの比較においても著しく厳しい状況と言わざるを得ない。
コメントは
「新型コロナウイルス感染症の影響によりお客様との面談数が減り大幅な受注減」(他、同様のコメント2社)、
「緊急事態宣言に伴う集客・来場の大幅な減少が受注に大きく影響」(他、同様のコメント4社)、
「感染拡大により営業活動が大幅に制約」、
「コロナ禍の自粛による影響で大幅前年比減」と、
新型コロナウイルス感染症に起因する受注減に関するものが大部分ではあるが、「WEB集客、リモート商談の強化」や「お客様が住宅を選ぶ時間が増えた」といった明るい兆しが感じられるものもあった。 - -見通し-
令和2年度第2四半期の受注見通しの景況感指数は、
受注戸数△54ポイント、受注金額△50ポイントと、引続き大きなマイナスが継続するとの見通しとなっている。
コメントは
「引き続き新型コロナウイルス感染症の影響でマイナス予想」(他、同様のコメント2社)、
「WEB折衝やWEBセミナー等お客様との交渉機会を増やす予定ではあるが依然として厳しい状況」、
「消費マインドの低下は続く傾向にある」、
「第1四半期と同様の状態が続き、好材料見当たらない」、
「6月より市況は回復傾向にあるものの新型コロナウイルス感染症の影響が継続」との厳しいものがある一方で、
「感染対策を実施し、徐々に集合型イベントを再開」、
「WEB集客、リモート商談の強化継続」「徐々に経済活動が再開され状況は改善されると予測」
といった前向きなものもあった。 - (戸建注文住宅)
- -実績-
令和2年度第1四半期の受注実績の景況感指数は、
受注戸数△80ポイント、受注金額△60ポイントとなり、5期連続しての大きなマイナスとなった。
昨年度第1四半期のそれぞれ△93ポイント、△69ポイントからのマイナスであり、極めて厳しい状況にあることが容易に窺える結果となった。
コメントは、
総数の実績に関するコメントと同様、新型コロナウイルスの影響による落込みを示すものが多い中、 「4~5月に比し6月は回復傾向」、
「新型コロナウイルス感染症以前の商談案件がこの期間に受注に繋がっている」(他、同様のコメント1社)、
「災害対策・スマートハウス強化」、
「見込み客が減少する中、単価UPの営業推進」等、
6月の回復傾向、コロナ以前に商談開始した案件の受注による落込み回避等を示すものも見られた。 - -見通し-
令和2年度第2四半期の受注見通しの景況感指数は、
受注戸数△47ポイント、受注金額△37ポイントと、マイナスが継続するとの見通しとなった。
コメントは、
「4~6月のモデルハウス来場大幅減が7~9月にも影響」(他、同様のコメント1社)、
「新型コロナウイルス感染症による景気の先行き不安が大きく、外出自粛で市場が大きく冷え込み住宅購入者の購入意欲が大幅に低下」(他、同様のコメント3社)、
「第2四半期も第1四半期と同様の傾向の傾向が続く」、
「客足が戻りつつあるが依然として受注の先行きは厳しく、不透明」といった厳しいものが並ぶ一方で、
「緊急事態宣言解除により徐々に経済活動が再開され、状況は改善傾向」等、
厳しいながらも第1四半期よりも改善されるとするものもある。 - (戸建分譲住宅)
- -実績-
令和2年度第1四半期の実績の景況感指数は、
受注戸数△65ポイント、受注金額△60ポイントで、マイナスの値を大きくしながら3期連続のマイナスとなった
コメントは、
「お客様との折衝面談回数が大幅に減り受注減に繋がった」(他、同様のコメント3社)、
「イベント集客が大幅に減少したことが主因で受注減」(他、同様のコメント2社)
といったネガテイブなコメントが多いが、「4~5月に比較して6月は回復傾向」等、回復傾向を示すものもある。 - -見通し-
令和2年度第2四半期の受注見通しの景況感指数は、
受注戸数△35ポイント、受注金額△30ポイントと、第1四半期よりはかなり改善するものの、引続きマイナスが継続するとの見通しとなった。
コメントは、
「新型コロナウイルス感染症の影響で購入マインドが低下し、受注減と予想」(他、同様のコメント2社)、
「客足が戻りつつあるが先行き不透明」(他、同様のコメント2社)
等の悲観的コメントに混じって
「緊急事態宣言が解除され経済活動が再開され状況は改善されると予測」、
「分譲プロジェクトの増加」、「販売強化と在庫確保に注力」
等の市場回復を見通すコメントもあった。 - (低層賃貸住宅)
- -実績-
令和2年度第1四半期の実績の景況感指数は、
受注戸数△64ポイント、受注金額△55ポイントと、前期よりやや改善したものの5期連続のマイナスとなった。
コメントは、
「新型コロナウイルス感染症の影響で引合い入手、商談が減少」、
「緊急事態宣言により全支店営業停止状態」、
「新型コロナウイルス感染症の自粛影響で実績はマイナス」、
「新型コロナウイルス感染症の影響が予想以上に大きく受注減」(他、同様のコメント3社)、
「緊急事態宣言によりお客様の計画延期が見られた」
等の厳しいコメントが並ぶ中で、
「新型コロナウイルス感染症の影響があるものの、前年消費税増税の反動減が出ていたことにより棟数・金額共に前年上回った」
と消費税率引上げ直後よりは良いとするものもあった。 - -見通し-
令和2年度第2四半期の受注見通しの景況感指数は、
受注戸数△50ポイント、受注金額△41ポイントで、6期連続でマイナスを見通すこととなった。
コメントは、
「新型コロナウイルス感染症影響で4~5月の引合数が大きく減少しており受注減と予想」、
「新型コロナウイルス感染症による影響で低調に推移」(他、同様のコメント1社)、
「お客様が慎重になっているのに加え、融資も一部厳しくなっている」、
「株価に左右されるが好材料に乏しい」、
「マーケットは6月より回復基調にあるが未だ10%以上減の見込み」
等悲観的なものが多い中、
「地方圏を中心に営業活動が日常に戻りつつあることや新商品リリースとの相乗効果により受注は改善の見込み」、
「経済活動再開により状況は改善されると予測」、
「一棟単価は増加傾向にあるが前年の駆込み反動減も落ち着いていた為伸び幅は縮小」
等の改善の兆しを感じさせるものや、
「営業活動の見直しを検討」といった営業スタイルの改善を示すものもあった。 - (リフォーム)
- -実績-
令和2年度第1四半期の実績の景況感指数は、
受注金額△83ポイントと4期連続の大きなマイナスとなった。
コメントは、
「新型コロナウイルス感染症の影響によりお客様との面談数が減り大幅な受注減」(他、同様のコメント3件)、
「新型コロナウイルス感染症および緊急事態宣言により集客が大幅減」、
「営業活動の制約を大きく受ける」、
「緊急事態宣言発出による営業自粛」(他、同様のコメント1件)
「自宅での打ち合わせを敬遠されるお客様が散見された」、
「新型コロナウイルス感染症による商談ストップ・延期等が受注に影響」など、
新型コロナウイルス感染症による影響を指摘するものが多かった。
「4~5月に比し6月は回復傾向」といった改善の方向にあることを示すものも皆無ではないが、全体としては新型コロナウイルス感染症の影響によりお客様との面談や集客が大幅に減少し、極めて厳しい状況であることを示している。 - -見通し-
令和2年度第2四半期の受注見通しの景況感指数は、
受注金額△42ポイントと前期よりも若干は改善するものの、依然として厳しい状況が続くとの見通しとなっている。
コメントは、
「新型コロナウイルス感染症の影響により引き続きマイナス」(他、同様のコメント4件)、
「今後の新型コロナウイルス感染症の影響が読めず、不透明感」、
「中断していた折衝の再開やイベント開催により回復を目指すも依然として厳しい状況」
等依然厳しいながらも、
「緊急事態宣言が解除され第1四半期に比較して改善されると予測」、
「定期検査等による顧客接点を徐々に拡大」、
「徐々に顧客に動きがみられ受注は回復傾向」、
「6月実績踏まえ前年並みに回復見込み」
と回復に転じるとのコメントも見られる。 - 新設住宅着工戸数の予測
- 令和2年度の新設住宅着工戸数の予測については、前回(4月)調査時の予測と比較し、下記の通り。
総戸数 83.2万戸(4月調査時) → 77.7万戸(今回) 5万5千戸マイナス
持家 26.6万戸( 〃 ) → 24.5万戸( 〃 ) 2万1千戸マイナス
分譲住宅 24.8万戸( 〃 ) → 23.0万戸( 〃 ) 1万8千戸マイナス
賃貸住宅 31.2万戸( 〃 ) → 29.6万戸( 〃 ) 1万6千戸マイナス
給与住宅 0.6万戸( 〃 ) → 0.6万戸( 〃 ) 変化なし
- 令和元年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
【単位:万戸】
総戸数 | 持 家 | 分譲住宅 | 賃貸住宅 | 給与住宅 | |
平成30年度実績 | 95.3 | 28.8 | 26.7 | 39.0 | 0.8 |
令和元年度実績 | 88.4 | 28.3 | 26 | 33.5 | 0.6 |
令和2年度予測 | 77.7 | 24.5 | 23.0 | 29.6 | 0.6 |
令和2年度予測 | |||||
A社 | 83.5 | 26 | 25 | 32 | 0.5 |
B社 | 79 | 25.5 | 23 | 30 | 0.5 |
C社 | 79 | 24.6 | 24.8 | 29 | 0.6 |
D社 | 75.9 | 24 | 21.4 | 29.5 | 1.0 |
E社 | 69.9 | 21.8 | 20.7 | 26.9 | 0.5 |
F社 | 83 | 27 | 24.5 | 31 | 0.5 |
G社 | 85 | 27 | 25 | 32.5 | 0.5 |
H社 | 77 | 25 | 23 | 28.5 | 0.5 |
L社 | 81 | 25 | 25 | 30 | 1.0 |
M社 | 78.8 | 24.3 | 23.7 | 30.2 | 0.6 |
N社 | 73 | 20.5 | 21 | 31 | 0.5 |
O社 | 未回答 | ||||
P社 | 74 | 22.6 | 22.9 | 28 | 0.5 |
Q社 | 63.6 | 23.1 | 16.1 | 23.9 | 0.5 |
R社 | 75 | 24 | 21 | 29.5 | 0.5 |
S社 | 78 | 25 | 23 | 29.5 | 0.5 |
平 均 | 77.7 | 24.5 | 23.0 | 29.6 | 0.6 |
- 住宅市場について
- 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
その結果は次のとおりである。 - 詳細グラフはこちら
上がる | 変わらず | 下がる | |
所得の伸び | 0 ( 1 ) | 1 ( 12 ) | 15 ( 1 ) |
家賃の動向 | 0 ( 0 ) | 13 ( 16 ) | 3 ( 0 ) |
金利の動向 | 0 ( 3 ) | 16 ( 13 ) | 0 ( 0 ) |
資材価格 | 1 ( 7 ) | 12 ( 9 ) | 3 ( 0 ) |
建築の手間賃 | 3 ( 8 ) | 13 ( 8 ) | 0 ( 0 ) |
上がる | 安定化 | 下がる | |
地価の動向 | 0 ( 3 ) | 11 ( 9 ) | 5 ( 3 ) |
増える | 変わらず | 減る | |
展示場来場者数 | 5 ( 0 ) | 1 ( 8 ) | 10 ( 7 ) |
過剰 | 充足 | 不足 | |
技能職人数 | 0 ( 0 ) | 9 ( 8 ) | 7 ( 8 ) |
( )内は、令和2年1月度調査数値である。
- 市場の動向について
- (1)「所得の伸び」は今回「下がる」と回答したのは16社中15社と大半を占めた。
- (2)「家賃の動向」は大きな変化はないながらも、「下がる」回答も3社あった。
- (3)「金利の動向」は、今回全社の回答が「変わらず」としている。
- (4)「資材価格の動き」では、「変わらず」が16社中12社で大勢の回答であった。
- (5)「建築の手間賃」は「変わらず」が大きく増え、「上がる」が8社→3社に減。
- (6)「地価の動向」では、「上がる」が無、「安定化」が増え「下がる」も3割有。
- (7)「展示場来場者数」は、「減る」が10社、「増える」が5社と回答が二極化。
- (8)「技能職人数(大工)」では、前回同様の結果で「充足」と「不足」が拮抗。